「出身」考

最近、小、中学校の同級生を紹介する記事が中日新聞に載って興味深く読んだのですが、その中に彼が「名古屋市千種区出身」とあり「出身」というのは生まれた土地(birthplace)をいうのかなあ、と漠然と引っかかっていました。
http://www.jazzjapan.co.jp/magazine.html
http://ameblo.jp/jazz-japan/
本日から始まった日経新聞私の履歴書」で、木田元さんが以下のようにおっしゃっているのを読み、なるほど「幼少年期を過ごしたところ」なら私と同じ感覚だなあと思いました。「本籍地」というのはちょっと違う感じですが、一方、広辞苑には「生まれた土地、卒業した学校、属していた身分などが、そこであること」とあるので、一般的には、やはり「生まれた土地」のことをいうのかもしれません。
しかしながら、木田さんが出身を「山形県」というのは少し無理がある感じで、だからこんなにくどくど説明する必要があったのですね。

 日本では、人の経歴を紹介するとき、まず最初に生まれ年と出生地を記す習慣があるが、そういうとき私は「1928年(昭和3年)、山形県出身」と書くことにしている。
 「山形県生まれ」と書けばよいのだが、それでは嘘になる。本当の出生地は新潟市だからだ。だが、そこには3歳半までしかいなかったので、何も覚えていない。だから、たしかにそこで生まれたにはちがいないが、新潟出身と言われると少し抵抗があるのだ。
 出身地とか故郷というのは幼少年期を過ごしたところを言うのだろうが、そうなると、私の出身地は昔の呼び名では満洲国の新京、今の呼び名でなら中国東北部長春ということになる。新潟からそこに移り、3歳から16歳までそこしか知らずに過ごしたのだから。
 だが、いま長春出身と言うのも穏やかではないので、戦後になってから初めて住んだところではあるが、本籍地でもあるので、山形県出身ということにしているのだ。