ジョン・マクスウェル・クッツェー

昨年、近所の図書館で、クッツェーの『恥辱』を読み了えました。著者の二回目の英国ブッカー賞受賞作であり「みすず」のアンケートでも随分評判になっていた覚えのある本です。
出版社のコピーにあるとおり、内容は「52歳、大学教授。離婚歴2回。男はつい出来心から教え子に過ちを犯して失職し、転落していく。仕事も友人も失った男は、片田舎にある娘の農場へ転がり込む。ここで恥辱を忘れ、粉砕されたプライドを再生すべく毎日を過ごす。だが、幸せも束の間、平穏な日々を突き崩すような出来事が……。堕ちてもなお厳しい現実を直視できない中年男の、悔恨と再生と審判の日々を描く問題作」ですが、私としては、売春婦や教え子との情事を淡々と描いていた前半部分には感心しましたが、後半は少々退屈でした。

恥辱

恥辱

同じ意見の方もみえるようです。
Looking back at the Booker: JM Coetzee
http://www.guardian.co.uk/books/booksblog/2008/jun/24/lookingbackatthebookerjm
そんな訳で、私にはクッツェーの文学は合わないのかと思っていましたが、同じ鴻巣友季子さんが訳された本書『エリザベス・コステロ』の存在を知り、再度トライしてみようという気になりました。以下の書評も参考になりました。
Elizabeth Costello: Eight Lessons の書評
http://www.lrb.co.uk/v25/n20/wood02_.html
Elizabeth Costello (Coetzee, J. M.)

Elizabeth Costello (Coetzee, J. M.)

エリザベス・コステロ

エリザベス・コステロ

意外と薄い本ですね。これなら読めるかも、と思いましたが、実はさにあらず。
8章のうちの2章分が別冊になっておりました。なかなかどうして、ですね。
動物のいのち

動物のいのち

しかし、クッツェーという人。ムージルやグリーンの本にも文章を寄せていたり、1997年10月にはプリンストン大学でタナー講義をしているようです。
http://www.tannerlectures.utah.edu/lectures/documents/Coetzee99.pdf
ムージルは新訳が出たことですし、グリーンには丸谷才一さんの名訳がありますので、両方とも是非読んでみたいと思っております。
The Confusions of Young Torless (Penguin Modern Classics)

The Confusions of Young Torless (Penguin Modern Classics)

Brighton Rock: (Penguin Classics Deluxe Edition)

Brighton Rock: (Penguin Classics Deluxe Edition)

寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)

寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫)

ブライトン・ロック (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)

ブライトン・ロック (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)

http://www.contemporarywriters.com/authors/?p=auth108
The Ambivalence Artist
http://dissentmagazine.org/article/?article=1342
Diary of a Bad Year

Diary of a Bad Year

Diary of a Bad Year
by J.M. Coetzee
Viking, 2008 240 pp $24.95