平幹二朗さんの「好きなもの」三題

本日の毎日新聞の読書欄で、平幹二朗さんの「好きなもの」という文章を興味深く読みました。
平さんの好きなもの、その1。独りでいること。
その2。森雅之さんと芥川比呂志さん。
その3。塚本邦雄の文章。
三つともなかなかですね。「独り」というコトバ使いもいい。
でも「孤独癖からは何も生み出さない、とこのごろは思う」とのこと。いいですね。
塚本邦雄の文章については「幻想的な比喩と、難解なイメージが、三、四十代のころのぼくの知的虚栄心を満足させた」「選び抜かれた言葉と文章の流れに、ただ圧倒されていた」とのこと。私は塚本の文章については全くの門外漢ですが、年齢的にそういう感じは分かるような気がします。「知的虚栄心」というコトバ( intellectual vanity。ホッブズ的には vainglory でしょうか)もいいですね。地方紙のコラムにこんな文章も見つけました。

ジャーナリストの筑紫哲也さんが知的虚栄心という言葉をよく使った。流行の思想や論調を語り、それによって自らを知的に装う。見方によっては鼻持ちならないが、読書離れが進む若者にもっと硬派の書物に挑戦してほしい、との筑紫さんなりのメッセージだったのではないか。

http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/article.php?storyid=516293034

私にとって、平さんといえば何と言ってもNHK大河ドラマ国盗り物語」での斉藤道三役の印象が強いです。今でも「とうとうたらり、とうたらり」と言いながら銭の穴に油を通している姿が思い出されます。放送第1回目の新九郎の登場シーンだったでしょうか。
この放送を見たのは中学生の頃なのですが、冒頭の音楽といい、何故かよく覚えております。DVDでまた見てみたいですね。
ごく最近、平さんの息子さんがNHKの語学番組にゲストで出ているのを聴いたのですが、なかなかしっかりした青年だと感心したところです。