エリオットと西脇さんと井筒さん

エリオットの関連で西脇順三郎さんに興味を持ち、図書館の書架で本書巻末の略年譜をつらつら眺めてみると、本日は何と彼の生誕116年の誕生日でした。

西脇順三郎コレクション〈第6巻〉随筆集

西脇順三郎コレクション〈第6巻〉随筆集

何か縁のようなものを感じます。
1894年生まれの西脇さんは、1888年生まれのエリオットとは正に同時代人。
1922年、エリオットの「荒地」やジョイスの「ユリシーズ」が刊行された年に、西脇さんが英国に留学(オクスフォードに入学しようとするも新学期に間に合わず1年入学を遅らせロンドンに滞在されたようですが)というのも非常に興味を引かれるところです。
世界詩人全集〈第16〉エリオット詩集 (1968年)

世界詩人全集〈第16〉エリオット詩集 (1968年)

本書には、そんな西脇さんが1952年11月に創元社から出された「荒地」、1968年11月の新潮社版世界詩人全集16『エリオット詩集』に収められた「四つの四重奏曲」が収録されています。私が読みたいエリオットの詩が2編とも入っていて、これは便利ですね。
それと井筒俊彦さんの「西脇先生と言語学と私」という興味深い回想文も収録されています。そうですか井筒さんは西脇さんの助手としてスタートされた慶応の言語学講座での師弟関係だったのですね。知りませんでした。
エリオットの著作としては、西脇さんのもの以外に中央公論社が1960年に全集と銘うって出した5巻のエリオット自選集もあるようです。この中の第3巻「詩論・詩劇論」にエリオットの The Metaphysical Poets というエッセイが含まれているので是非読んでみたいと思っています。
The Metaphysical Poets
http://www.cola.wright.edu/Dept/ENG/limouze/eliotmetaphys.htm
これは昨年11月29日にBBCラジオの Words and Music を聴いて以来気になっているエッセイでありまして、丸谷さんが編んだ『ロンドンで本を読む』の冒頭「イギリス書評の藝と風格について」の中では以下のように紹介されているものです。

紹介とか評価とかよりももっと次元の高い機能もある。それは対象である新刊本をきっかけにして見識と趣味を披露し、知性を刺戟し、あわよくば生きる力を更新することである。つまり批評性。
この場合一冊の新刊書をひもといて文明の動向を占い、一人の著者の資質と力量を判定しながら世界を眺望するという、話の構えの大きさが要求されるのは当然だろう。
こんなふうに言うと、日本とは事情が違いすぎるので、見当がつかないかもしれないが、イギリスの書評は紙数を充分に与えられているので、長文の評論を書くことが可能なのだ。その典型的な例は T.S.エリオットの場合で、彼の代表的な作品の数多くは「タイムズ文藝付録」に発表された(たとえば『形而上派の詩人たち』はグリアスン編『17世紀形而上派の詩 ダンからバトラーまで』の書評である)。

http://www.bbc.co.uk/programmes/b00p3092
The Waste Land
http://www.bartleby.com/201/1.html
Tradition and the Individual Talent
http://www.bartleby.com/200/sw4.html