2つの授業

今朝の朝日新聞マイケル・サンデル教授のインタビュー記事が載っていたのを出勤前の喫茶店で読むことができました。学生時代はジャーナリスト志望だったそうですね。ロールズの正義論との違いなどなかなか読ませる記事でした。サンデル教授については、以前、NHK教育TVで「ハーバード白熱教室」が放映されて評判になり、現在、著書もベストセラーになっているようです。
http://www.nhk.or.jp/harvard/about.html
http://www.justiceharvard.org/
http://www.justiceharvard.org/index.php?option=com_content&view=category&layout=blog&id=9&Itemid=5

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

この記事を読む前、午前5時35分から、ちょうど同じNHK教育TVで九州大学北山修教授の「最後の授業」再放送の最終回があったところなので(残念ながら今朝は寝坊してしまったのでじっくり観ることができませんでしたが)、ちょっとおもしろいなあと思いました。
http://cgi4.nhk.or.jp/feature/index.cgi?p=cUjUDLWv&c=2
この2つの授業。両国の大学教育の違いというか、お国柄というのか、いろんな意味で非常に対照的でした。
かたやアメリカの名門大学の1000人を超える大教室。その広いステージの上からサンデル教授が講義に続き生徒に質問をされるのですが、挙手した生徒が答え終わると教授は間髪入れずその生徒に「君の名前は?」と尋ね、その後の生徒とのやりとりでは必ずその名前で語りかけていました(私が観たのは日本語の吹き替えでしたが)。日本の大学で質問者にその名前を尋ねる先生は多いのでしょうか。少なくとも私の学生時代には経験しませんでした。サンデル教授、実に颯爽として見えました。テレビ映りバッチリ、という感じです。
かたや日本の名門大学とはいえ、TVで映し出されたその教室、校舎は実にみすぼらしく(私の学生時代の時のような古い校舎。今朝の番組で判明したのですが九州大学は新キャンパスに移転し校舎も建て替えられた模様)、北山教授自身、TVカメラを意識して生徒にあえて質問されません。こういう配慮(カメラの前では質問しにくいだろう、との配慮)は日本的といえば日本的。北山教授の姿も誠実そうなその人柄が実によく現れているように映っていました。オマケで最後に「あの素晴らしい愛をもう一度」をゲストと共に歌う姿が流れましたが、4回の放送全体としてはいたって地味。テレビ映りという意味では従来の同種の番組とそう違いはありません。
さて、私がもう一度学生をやることができるとして、2つの授業のスタイルで私の好みはといえば、やっぱり北山先生の方かな、と思います。30年近く時代が経過してもアメリカ的というかスピードの速いスタイルには馴染めませんね。
その昔、南原繁は自分の講義(サンデルと同じ政治哲学)のため教室に入るや余りの受講生の多さに驚き、政治哲学の授業をこんな大勢の生徒が受講することは考えられない、と講義するのを止めたという話を聞いたことがあります。エリート主義というか、いくらなんでも時代が違うとは思いますが、私もサンデルの政治哲学の授業の盛況ぶりには若干の違和感を覚えます。
http://www.msz.co.jp/book/detail/07543.html
最後の授業――心をみる人たちへ

最後の授業――心をみる人たちへ