日本に政治学者は数多おられますが

現在、日本の論壇で活躍されている割合ポピュラーな政治学者といえば?
思いつくまま挙げてみますと、佐々木毅さん、御厨貴さん、北岡伸一さん、山口二郎さん、後房雄さん、飯尾潤さん。
佐々木さんはプラトンマキァヴェッリなど西洋古典にも造詣の深い方。後さんはグラムシが御専門だったかと。
では、政治哲学者と呼べる方が日本の論壇におられるでしょうか。
政治に通じた哲学者はいうに及ばず、哲学に多少は通じている政治学者という意味まで広げても日本では残念ながら僅か。今では変り種と言わなければならないでしょう。
半世紀前ならば丸山眞男さん。一世代前でいうと京極純一さんとか三谷太一郎さん。むしろ正統派ではないでしょうか。
私がそうだと思う方は井上達夫さん(彼は希少種である政治哲学者だと思います)とか齋藤純一さんといったところです。
おっと、大物を忘れていました。憲法学者の長谷部恭男さんです。この方の哲学の通暁ぶりは半端ではない!

現代の貧困 (双書・現代の哲学)

現代の貧困 (双書・現代の哲学)

普遍の再生

普遍の再生

政治と複数性―民主的な公共性にむけて

政治と複数性―民主的な公共性にむけて

憲法の理性

憲法の理性

もう少しこういうスタイルの政治学者がマスコミに露出されても良いのではないか、などと日本の論壇(特にテレビにおける討論番組)を眺めていると思わずにはいられません。
狭い論壇でいうと雑誌「思想」とか「現代思想」というところですが、こうした雑誌にしても、英米には「Philosophy & Public Affairs」「Political Theory」「Ethics」等いろいろあって論壇自体が賑やかで本当に羨ましいです。
http://www3.interscience.wiley.com/journal/118493933/home
http://ptx.sagepub.com/current.dtl
http://www.journals.uchicago.edu/toc/et/current
http://journals.cambridge.org/action/displayJournal?jid=SOY
http://www.oup.com/us/catalog/general/series/OxfordPoliticalTheory/?view=usa
http://www.cambridge.org/us/series/sSeries.asp?code=COPT
以下は、日本語で読める現代政治哲学のテキスト(Contemporary Political Philosophy: An Introduction, 2002)。初版は1991年刊で、An Introduction(一つの道案内)といいながら、著者も認めるとおりかなりの野心作として刊行された定評ある教科書。一度は通読して自分の知識の整理をしたいと思っている本ですが、これが日本語で読めるというのは本当にありがたいことです。
新版 現代政治理論

新版 現代政治理論

Contemporary Political Philosophy: An Introduction

Contemporary Political Philosophy: An Introduction

本書も一人の著者が物した定評あるテキストの翻訳。初版(1960年刊)の訳書で当初は『西欧政治思想史』として何と5分冊でした。原書は最近、第二版が出されたというロングセラー。
政治とヴィジョン

政治とヴィジョン

Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought

Politics and Vision: Continuity and Innovation in Western Political Thought

以下は、私が一番興味を引かれているアメリカの政治哲学者ウォルツァーの論文集。オクスフォードのミラー教授が編んだ、というところも興味があって購入しました。
Thinking Politically: Essays in Political Theory

Thinking Politically: Essays in Political Theory

http://yalepress.yale.edu/yupbooks/book.asp?isbn=9780300118162
ウォルツァーと並んで私がおもしろいと思う政治哲学者がネーゲル。彼については『コウモリであるとはどのようなことか』に付された序文を読んで以来、注目しております。
コウモリであるとはどのようなことか

コウモリであるとはどのようなことか

Mortal Questions (Canto)

Mortal Questions (Canto)

彼には共著ですがこのような本もあります。
税と正義

税と正義