山田太一のラジカントロプス 2.0


http://www.jorf.co.jp/PROGRAM/radio.php
8月7日(金)は脚本家・山田太一さんが登場!超大物脚本家の日常とは?
8月7日(金)夜11時00分からAM 1422kHZラジオ日本、そして、ポッドキャストで!ポッドキャスト版はほぼノーカットですが、楽曲部分はお聴きいただけません。
2009年8月7日(金)夜11時からの「山田太一のラジカントロプス2.0」のポッドキャスト版です。(1時間25分17秒)
脚本家のあの山田太一さんが登場!
今後のパーソナリティ予定
8月7日(金)は脚本家・山田太一さんが登場!「ふぞろいの林檎たち」をはじめ、数々の名作を生み出し続ける山田太一さんに聞く「脚本家の1日」。
8月のラジカントロプスには気になる人々が次々登場!書評家の豊崎由美さん、水道橋博士さん、そして、CMでおなじみ謎の中国人ユニット「桜組」が登場予定です。

早春スケッチブック
 脚本:山田太一
 演出:富永卓二、河村雄太郎
 制作:中村敏夫、富永卓二
 音楽:小室等
 出演:岩下志麻河原崎長一郎鶴見辰吾、二階堂千寿、山崎努樋口可南子、荒井玉青
 1983年放送

 望月家は私生児の和彦(鶴見)を連れた都(岩下)と、先妻に先立たれ良子(二階堂)を連れた庄一(河原崎)が再婚した血のつながらない家族だが平穏に暮らしていた。
 しかし和彦が大学受験を控えたある日、突然謎の女・明美(樋口)があらわれ、写真家の沢田竜彦(山崎)のところに連れて行く。日常を否定する竜彦に和彦はひかれていくが、実は二人は父子であり、また沢田は病気で余命三ヶ月だったのだ…

 日常を否定する実の父・沢田とマジメに働く育ての父・庄一という二つの生き方を、二人の間を揺れる和彦で対比させるという構成です。

 沢田竜彦を演ずる山崎努が魅力的で和彦ならずともひかれます。印象的なセリフがたくさんありますが、その一つを紹介します。

 治療を勧める和彦に対して
「からだが丈夫だって長生きしたって、なんにもならねえ奴はいくらでもいる。なにかを、誰かを深く愛することもなく、なんに対しても心からの関心を抱くことができず、ただメシをくらい予定をこなし習慣ばかりで一日を埋め、くだらねえ自分を軽蔑することもできず、俺が生きててなにが悪いと開き直り、魂は一ワットの光もねえ。そんな奴が長生きしたってなんになる?そんな奴が病気なおしたってなんになる?」

 そして、いつものトドメは「ありきたりなことをいうな、お前らは骨の髄までありきたりだ!」

 それに対峙する育ての父・庄一を演じるのは昨年なくなった河原崎長一郎。まじめに働く普通のお父さんを演じては日本一!ではまっています。

 そして二人の男にはさまれるもう一人、都を演じるのが岩下志麻。かつては沢田とくらし今は望月の妻として平凡に暮らす主婦という二つの要素をさすが「極妻」、見事に両立しています。

 連続ドラマは、途中の盛り上がりを重視するため、その反動で最終回でみんなを納得させるようなドラマはそんなにありません。ところが『早春スケッチブック』は最終回放送前には「どうやって結末をつけるんだろう?」とまったく予想できませんでしたが、終わってみると「これしかない!」という完璧な終わり方でした。

 死を目前にした沢田の危険な魅力により和彦ばかりか娘の良子、さらには妻の都まで竜彦の方にひかれていくという状況に追い込まれた庄一はある決断を下します。その決断がすごいのですが、それはドラマを見てのお楽しみということで…

 そんな名作なのに知名度がないのはなぜか?最大の理由は裏番組にあります。放送枠は金曜22時、ということは裏は当時全盛のTBS金曜ドラマ、その時放送されていたのはヒット作『金曜日の妻たちへ』。

 それまでテーマ重視のドラマが中心だったTBS金曜ドラマですが『金妻』あたりから、エンターテイメント色を強くしてきました。83年は『おしん』『スチュワーデス物語』『積木くずし』など記録的高視聴率ドラマが相次いだ年。時代の転換点でした。

 またフジテレビ金曜22時のドラマはこれ以前にも倉本聰脚本の『北の国から』で山田太一脚本の『想い出づくり』に挑むなど、TBSに真っ向勝負を挑んだ枠。しかし内容では並べても視聴率でどうしても勝てませんでした。同じことをやっていては越えられない、とその後、トレンディドラマに路線を変更することにもつながったのです。

http://allabout.co.jp/entertainment/drama/closeup/CU20040119/

早春スケッチブック
http://www.tvdrama-db.com/content/select/sousyun/index.htm
丘の上の向日葵
http://www.tvdrama-db.com/content/select/sousyun/res011.htm
インタビュアーである植竹公和さんのブログ。
http://d.hatena.ne.jp/sugarbabe49/20090807