青木新門さん

NHKラジオ深夜便。今日は富山発と称して富山ゆかりの曲などとともに納棺夫日記の著者で富山在住の、青木新門さんへのインタビュー「ありのまま丸ごと認める世界」を放送していました。人の死にまつわる誠に素晴らしい内容のインタビューでした。残念ながら録音できなかったのでいつの日にかNHKには再放送していただきたいと希望します。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~shinmon/shin08.htm
番組でも紹介された氏のHPを訪問すると、トップページにあのジョー・オダネルさんの写真「焼き場に立つ少年」が掲載されていて「他は見ても見なくてもいいですがこのサイトだけは写真をクリックしてぜひ見てお帰り下さい」とあります。拝見しましたがこちらも実に感動的な内容です。以下、青木さんの体験談の箇所を転載させていただきました。
http://www.voiceblog.jp/andotowa/207988.html

15年前、私は一枚の写真の前で動けなくなった。
元米国大統領専属カメラマン、ジョー・オダネル氏の写真展でのことであった。
「この少年は弟の亡骸を背負って仮の火葬場にやって来た。そして弟の小さな死体を背中から降ろし、火葬用の熱い灰の上に置いた。少年は兵隊のように直立し、顎を引き締め、決して下を見ようともしなかった。ただ、ぎっと噛んだ下唇が心情を物語っていた」と写真の下に添え書きがあった。
 私が満州終戦を迎えたのは八歳であった。母とはぐれ、死んだ妹の亡骸を難民収容所の仮の火葬場に置いてきた自分の体験と重なり、涙が止めどなく流れた。そんな私に気づいたオダネル氏が理由を聞くと私を抱き締めてくださった。私は氏の胸の中でいつまでも嗚咽していた。
 氏は晩年、この少年に会いたいと度々来日してNHKや長崎新聞の協力を得て必死に捜されたが少年を知った人さえ現れなかった。落胆して帰国後の2007年、くしくも原爆投下の8月9日に亡くなった。
 一周忌を迎えた2008年8月にNHKスペシャルで放映された「解かれた封印」は、氏がホワイトハウスを退職後、43年間も封印してきた軍の規律に違反して撮った写真が詰まるトランクを開け、原爆投下の正当性を信じる米国社会からバッシングを受けながら投下の誤りを告発してゆく記録となっている。
 私には氏はアメリカの良心のように思えた。

納棺夫日記 増補改訂版 (文春文庫)

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定本納棺夫日記

定本納棺夫日記

新門随想
http://www.sogi.co.jp/sub/sinmon/aoki01.htm