65回目の終戦記念日

今朝の朝日新聞社説「65回目の終戦記念日」をじっくり読ませてもらいました。その中で英霊たちがこう嘆いています。
「戦後65年、日本はあの敗戦から立ち直り、世界有数の豊かな国家として成功したんじゃなかったのか」「俺たちは今のような空しい日本を作るためにあの戦いで死んだつもりはない」(倉本聰作・演出の舞台「歸國」より)。
http://www.asahi.com/paper/editorial20100815.html
最近の日本では100歳以上の高齢者が200人近くも所在不明になっている、などとBBCのニュースで取り上げられ世界中で驚きとともに呆れられているのですから、英霊と同世代で戦争を生き抜いた方たちも、さぞや「空しい」と大いに嘆いておられることでしょう(実際TVで、お元気な高齢者が「親がどこへ行ったか分からないなんて子供があるか」と怒っておられました)。
Almost 200 centenarians 'missing' in Japan
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-10949562
菅内閣の閣僚は、今日一人も靖国神社を参拝しなかったそうですが、靖国問題に無関心になってはならないと思い、今日はこの本の「母一人子一人の愛児を御国に捧げた誉れの母の感涙座談会」を再読しました。実に名編で、戦争を知らない人間が戦時中の雰囲気というものを考えるよすがになります。橋川文三さんがこの座談会(「主婦の友」1939.6)を「中央公論」(1974.10)に載せた「靖国思想の成立と変容」でそのさわりを紹介されたのが世に知られるきっかけになったのですが、全文はこの本でしか読めないようです。このKAWADE道の手帖シリーズは中々力作ぞろいのようですね。
http://www.kawade.co.jp/np/search?ser_id=74000

靖国問題入門

靖国問題入門

橋川さんには有名な『日本浪曼派批判序説』以外に西郷隆盛三島由紀夫に関する文章もあるようですね(『西郷隆盛紀行』(1981.11)『三島由紀夫論集成』(1998.12)「三島由紀夫伝」文藝春秋現代日本文学館42』(1966.8))。
日本浪曼派批判序説 (講談社文芸文庫)

日本浪曼派批判序説 (講談社文芸文庫)

朝日の社説でも引照されていたダワーさんの新著。まだ目にしていませんが、ダワーさんについてはその著書『吉田茂とその時代』の中で防衛問題に関連して日本のことを「精神的に真に独立していない」と痛烈に批判されていたことを忘れてはいけません。
昭和――戦争と平和の日本

昭和――戦争と平和の日本