2010年「この3冊」その2

本日の毎日新聞には先週に続いて 2010年「この3冊」の後編。丸谷才一さんの「この3冊」は以下のとおりです。

乾隆帝の幻玉―老北京(ラオベイジン)骨董異聞

乾隆帝の幻玉―老北京(ラオベイジン)骨董異聞

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)

卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1838)

流跡

流跡

初めの2冊は「小説という快楽を、これでもかこれでもかと堪能するまで味わわせてくれる大綺譚」「じつに愉快な娯楽読物」ということで、なかなかおもしろそうな本です。
3冊目は「いま評判の新人」朝吹真理子さんの最初の本で、丸谷さんいわく「文章がすばらしい。言葉の使い方がすっきりしていて、今どきの若い娘とはとても思えない。これで小説性が寄り添えば大したものだが、行間の気配から察すると、多分それも何とかなりそうな予感がある」とのこと。覚えておきたい作家ですね。
本日の朝日新聞にも「今年の3点」と題して同種の企画が掲載されています。私にはこちらの方が全体的に刺激的でした。特に以下の方々です。
まずカンサンジュンさん。
ジャットさんの遺著、ダワーさんの『昭和』と並んで御自身が書評されたテイラー『自我の源泉』の3冊。なるほど。
続いて鴻巣さんが丸谷さんも挙げている『流跡』を挙げ「今後最も注目される作家」と書かれています。
あと奥泉光さんという方が挙げていたのがジョージ・オーウェルの日記。翻訳されたことは知っていたのですがこの書を挙げていたのは各紙見ましたがこの方だけだったようですね。
ジョージ・オーウェル日記

ジョージ・オーウェル日記

Orwell Diaries

Orwell Diaries

http://www.randomhouse.co.uk/catalog/book.htm?command=Search&db=main.txt&eqisbndata=1846553296
さて、この私の、2010年「この3冊」は、まだ読んでいないものも含みますが、以下のとおりでしょうか。
(和書)
太陽を曳く馬〈上〉

太陽を曳く馬〈上〉

雑誌「みすず」昨年の読書アンケートの中で一番評判だった本。hedgehog さんが「日本語ネイティブに生まれて21世紀を生きているからには読まずに済ますのはあまりに勿体ない」と書いていたのも気になって読みました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1290513280&owner_id=1324491
憲法のimagination

憲法のimagination

丸谷さんが雑誌「図書」12月号でベタ誉めでしたね。これには長谷部さんも喜んでいることでしょう。御存知かな。
鏡のなかの薄明

鏡のなかの薄明

今年の雑誌「思想」5月号の中の「福澤諭吉の怨望論」もおもしろかったです。
(教科書)
憲法入門

憲法入門

功利主義と分析哲学―経験論哲学入門 (放送大学教材)

功利主義と分析哲学―経験論哲学入門 (放送大学教材)

イギリス史研究入門

イギリス史研究入門

(洋書)
Ill Fares the Land

Ill Fares the Land

http://www.lrbshop.co.uk/product.php?productid=19072&cat=25&page=1
荒廃する世界のなかで――これからの「社会民主主義」を語ろう

荒廃する世界のなかで――これからの「社会民主主義」を語ろう

Freedom

Freedom

http://www.lrbshop.co.uk/product.php?productid=40021&cat=11&page=5
Cultures of War: Pearl Harbor / Hiroshima / 9-11 / Iraq

Cultures of War: Pearl Harbor / Hiroshima / 9-11 / Iraq

http://www.nationalbook.org/nba2010_nf_dower_interv.html
(翻訳)
自我の源泉 ?近代的アイデンティティの形成?

自我の源泉 ?近代的アイデンティティの形成?

マイケル・サンデルが売れているからといって1989年刊のこの本格的な哲学書が売れる世の中だとは思えませんが、なかなかおもしろそうです。
http://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0648-4.html
荒地 (岩波文庫)

荒地 (岩波文庫)

昨年11月の The Metaphysical Soul 以来、今年も西脇順三郎関連でエリオットの詩にはかなり親しんだのですが、岩崎宗治先生の訳で岩波文庫からこの本が出たのは嬉しい驚きでした。
正義論

正義論

とうとう刊行されましたね。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4314010746.html