Thelonious Monk With John Coltrane at Carnegie

本日、久し振りに Amazon で衝動買いをしてしまいました。きっかけはこのブログ。

Thelonious Monk Quartet with John Coltrane at Carnegie Hall

Thelonious Monk Quartet with John Coltrane at Carnegie Hall

モンク&コルトレーン 1957 凄い!


「伝説」を聴いた!想像以上の凄さだった!
 1957年、セロニアス・モンクジョン・コルトレーンを加えたカルテットで、ニューヨークのファイブ・スポットに出演したときの演奏はさまざまに語られ、「伝説」となっている。
「伝説」となったのは、このときのライブが録音されなかったこともあるが、ライセンスを取り上げられてNYで演奏できなかったモンクが久しぶりに現場復帰し、麻薬でマイルス・デイビスのバンドを馘になった新鋭コルトレーンがモンクに鍛えられることによって日毎に変化し、そのプレイが後の「コルトレーン神話」の出発点になったと言われているからだ。
『ライブ・アット・カーネギー・ホール1957/セロニアス・モンクジョン・コルトレーン』(BLUE NOTE)は、モンク・カルテットがファイブ・スポットに出ていたまさにその時期に、カーネギー・ホールのコンサートに出演した際のライブ。今年の4月、ワシントンの国会図書館で48年ぶりに録音テープが発見された。ニューヨーク・タイムスに載ったテープ発見の記事は日本でもすぐ紹介されたから、いつ聴けるのかとわくわくしていたファンも多かったろう。僕もその1人。
 十何年か前にも、ファイブ・スポットのライブが残っていたと、鳴り物入りでアルバムが発売されたことがあった。個人がテープレコーダーに録音したものだったから、「研究」ならともかく音楽としては聴くに耐えない音質で、噂に聞く演奏の凄さはまったく伝わってこない。僕も1、2度聴いただけでしまい込んでしまった。
 今回の盤は、はじめから興奮させられる。オープニングの拍手がなりやむ間もなく、モンクが「モンクス・ムード」のメロディを弾き始める。驚きに満ちた音遣いのモンクがひとりで1コーラス弾いたあと、コルトレーンが低く、静かに入ってくる。今度はコルトレーンが瞑想するようにメロディを吹きはじめ、モンクがバックに回る。バッキングというにはあまりにすごすぎる刺激的なピアノ。ベースとドラムスはごく控え目にしか入ってこないから、二人の絡みあうようなデュオが延々とつづく。
 曲が終わると聴衆の拍手を無視して、モンクはすぐに次の「エヴィデンス」に入る。イントロの後、コルトレーンがメロディを吹きはじめ、そのままソロに入って、ぐいぐい熱くなる。「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれるコルトレーン独特の16分音符が敷き詰められた激しいプレイの連続。すごい!
 このコンサートは11月29日。その2カ月前にコルトレーンは初期の名盤『ブルー・トレイン』を録音している。『ブルー』は50年代のハードバップ・スタイルだったけど、この夜の演奏はもう50年代ではなく、明らかに60年代の疾風怒濤のコルトレーンを予感させる。
 それ以上に興味深いのがモンク。モンクのアルバムで主だったものは持ってるつもりだけど、曲や音遣いのユニークさと対照的に、モンク自身のプレイはいつでも淡々としていて、そのなかに独特のユーモアと明るさを湛えているのが印象的だった。
 それがこのライブ盤では、コルトレーンに刺激されてだろう、モンクが熱くなっている!
 こんなにアグレッシブな音を出し、時にはコルトレーンとバトルを繰り広げるモンクを初めて聴いた。弾きながら出すうなり声(キース・ジャレットより凄みのある)もちゃんと録音されていて、泣かせるね。
 1曲が終わると間髪を入れずモンクは次の曲に入り、息もつかせぬモンクの名曲のオン・パレード。「ナッティ」のテンションの高さ、「スウィート&ラブリー」でのモンクらしいバラードのソロと、ダブル・タイムで急速調になるコルトレーンのソロ、「ブルー・モンク」でのコルトレーンの火の出るようなソロに、興奮しまくり。
 録音がまた臨場感あふれていい。ボイス・オブ・アメリカが放送用に録音したらしいけど、スタジオでないにもかかわらず音がクリアで、会場にいるようなリアルさがある。目をつぶって聴いていると、1957年のニューヨーク、伝説のモンク・カルテット演奏の現場にタイム・トリップしたような幸せな気分を味わえる。
「歴史的名盤」という言い方があるけど、これは間違いなく歴史に残るアルバムだ。モンク・ファン、コルトレーン・ファンは必聴です。

http://editorsnote.cocolog-nifty.com/days_of_books_films_jazz/2005/09/1957_f7d7.html

国内盤はCCCDということで輸入盤を薦めるレビューが多かったのですが、輸入盤にしては 2,097円と高額なのでUKに注文することに(税込£9.99, 税抜£8.33)。
http://www.amazon.co.uk/Thelonious-Monk-Quartet-Coltrane-Carnegie/dp/B000AV2GCE/
バスケットに入ったままだった以下のCD、DVDを併せて購入いたしました(免税£5.22。送料£6.56込みで£32.71。£=137.584円で4,500円でした)。

Once in a Lifetime Runrig Live

Once in a Lifetime Runrig Live

(税込£5.39, 税抜£4.49)

(税込£15.99, 税抜£13.33)
http://www.amazon.co.uk/Highland-Sessions-presented-Kennedy-Complete/dp/B0049GIO8G/

(追記)
翌年の1958年、モンクがジョニー・グリフィンというサックス奏者とファイブ・スポットに出演したときのライブ盤もあるようです。1週遅れで聴いた9日のBBCラジオ Jazz Record Requests でディスク1の6曲目 Evidence が流れました(モンク&コルトレーンの盤の2曲目にも同曲が入っています)。2枚組みのボックスセットで1,763円はお買い得だと思い、4月23日 Amazon に注文(なお、UKからは23日に商品が届きましたのでちょうど1週間でした。DVDは All Regions とあったのに再生できず残念でした)。
http://www.bbc.co.uk/programmes/b010623l

Complete Live at the Five Spot 1958 Feat.Johnny Griffin

Complete Live at the Five Spot 1958 Feat.Johnny Griffin

http://www.amazon.co.uk/Complete-Live-Five-Spot-1958/dp/B001O8C5TG/