ストレイ・シープ

村上春樹、河合隼雄に会いにいく

村上春樹、河合隼雄に会いにいく

昨日読了した河合隼雄さんと村上春樹さんの2日間にわたる対談(正確にはフットノートを除き、ですので、まだやっと半分か)。
その「後書き」(河合さん筆)にこうあります。

 村上さんの作品のなかで、『羊をめぐる冒険』に心を惹かれた。
 現代青年の直面している心理的内容が「羊男」というイメージに見事に具象化されて出現してくる。これを読みながら、すぐ思い出したのは、わたしが学生時代に好きだった夏目漱石の『三四郎』である。田舎から東京に出てきた主人公の姿は、田舎の代名詞のような丹波篠山から京都に出てきた自分の姿と多分に重なるところがあった。そして、三四郎が出会った「ストレイ・シープ」のイメージを、村上春樹さんの「羊男」と比較してみると、現在がどれほど違った世界になっているかがよく実感できる。この対比があまり面白かったので、このことは拙著『青春の夢と遊び』に述べた。

これを見て、まず、なるほど!と思い「これはおもしろいに違いない」と早速、図書館で探して書庫から借り出してきました。

借りたのはこの文庫版でなく岩波から「シリーズ 生きる」の一巻として1994年10月に出たハードバック版です。
しかし、いつもながら図書館で借りて嫌に思うのは、公共の本(自分のモノではない本)に線を引いたりメモ書きを平気で出来る輩の存在です。
返却することを思えば、これは自分の為にする所業では有り得ない。
ということは、これは自分のモノではないモノにキズをつけることに快感を覚える変質者か、或いは、自分より後に手に取る他人に、おせっかいにも何かをメッセージとして残したいと考える傲慢な輩の仕業、といっていいでしょう。
いずれにしても、確かにこういう人間がこの世の中に少なからず存在している、ということを思い出させてくれました。