公立「図書館戦争」

昨日、愛知県小牧市で市議会議員選挙と同時に行われた住民投票の結果「TSUTAYA図書館」が住民から「ノー」を突きつけられました。
これに関する掘り下げた記事をネットで見つけましたが、本屋や図書館が大好きな私としては、ちょっと気になりましたので、以下、引用させていただきます。
TSUTAYA図書館”にNO! 「新図書館整備計画」の反対運動が増えている理由
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1510/06/news027.html

 まず考えられるのは、「新しい形の図書館をつくろう」という勢力が尻込みすることだ。指定管理者制度が施行されて10年。実はCCCはまだ「新参者」であり、最大手TRCだけではなく、紀伊国屋丸善マーケティング事業のヴィアックス、サントリーパブシリティサービスなどの民間企業やNPO法人なども参入している。

 にもかかわらず、これまで「紀伊国屋図書館に反対」なんて市民運動が起きたという話は耳にしない。CCCのようにヘタを打ってないということもあるが、「TSUTAYA図書館」のように話題になる新しい図書館を生み出していないということも大きい。そこへCCCが住民に「ノー」をつきつけられたとなると、「そら見たことか、やっぱり公立図書館なんて最低限のサービスでいいんだよ」と新しいチャレンジをしなくなってしまう恐れもある。

 それでは本末転倒だ。図書館の指定管理制度の根底にあるのは、民間のアイデアやノウハウで日本の公立図書館のあり方を変えていくことだからだ。

 2005年に文部科学省年にまとめた調査では、人口10万人当たりの公共図書館数でみると、ドイツが12.9、イタリアが10.5に対して日本は2.1。地域に根ざしているとは言い難い状況だった。一方、1館当たりの蔵書数は先進国と比較してもダントツに多い。つまり、地域社会に根ざしているとは言い難いものの、「本好き」にはたまらないのが日本の公共図書館なのだ。


 会社を退職したシニアと、受験生が開館とともに席を陣取るような今の図書館に未来はあるのかという問題がある。「本を愛する一部の市民がタダで豊富な蔵書が読める施設」では、財政が苦しくなれば利用者数と行政コストを天びんにかけて少しづつ予算を削っていくしかない。それを民間へ丸投げすれば当然、サービスも劣化の一途をたどる。

 反対派のみなさんは「みんなの図書館はみんなでつくろう」とシュプレヒコールをする。おっしゃる通りだと思うが、こういう方たちが言う「みんな」と、行政や企業の考える「みんな」は、誰を指すかが全く違う。この悲劇的なすれ違いから「図書館戦争」は起きていると言っても過言ではない。

 不毛な争いに終止符を打つためにも、「みんなが集う図書館」というものを、そろそろ真剣に考えるべき時期なのではないか。

ツタヤ図書館計画、反対多数 愛知・小牧市住民投票
http://www.asahi.com/articles/ASH9Z3D16H9ZOBJB006.html?iref=com_rnavi_srank
小牧・新図書館:建設巡る住民投票 市民の声聞く真摯な市政を/結果を受け止めよい計画に /愛知
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20151006ddlk23010170000c.html
図書館問題きょう住民投票 小牧
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20151004/CK2015100402000038.html?ref=lcrk
図書館はTSUTAYAとスタバの“おまけ”?  民間委託で利用者急増も、トラブル&疑問の声が噴出
http://biz-journal.jp/2013/05/post_2150.html