1年の計


「本物(まとも)なもの」というのは、それを語る人間の性根が卑しくないことが感じられて、それを読んだり聴いたりしている自分の心に言葉が素直に響くもの、という意味だと一応しておきましょう。
ちなみに本日読んだ本物(まとも)なもの
司馬遼太郎「歴史を動かすもの」(1970.1.1)
「歴史はときに酩酊者に勝利を得さしめるが、ながい目でみれば歴史はこの空念仏者群の強靭さの前に屈しつづけてきたようである」というのが司馬さんの歴史観。これはトルストイの『戦争と平和』の歴史観にも通じると思います。また、これを読みながら、この文章の存在を教えてくれた碧海純一さんの『合理主義の復権』も再読したくなりました。
・トマス・ネーゲル「Mortal Questions」序文(1979)
「My own philosophical sympathies and antipathies are easily stated. I believe one should trust problems over solutions, intuitions over arguments, and pluralistic discord over systematic harmony. Simplicity and elegance are never reasons to think that a philosophical theory is true: on the contrary, they are usually grounds for thinking it false.」という箇所が好きです。


NHKスペシャル「激論2009 世界はどこへ そして日本は」
番組内容
マネー資本主義の崩壊、多極化する世界に日本はどう向き合えばいいのか。世界の知性の提言、日本の論客による討論で、世界のパラダイムシフトの行方を読み解く巻頭言。
アメリカ発の金融危機は、行き過ぎた“資本主義”の終わりを意味するのか?
世界経済が急速に悪化する中で、日本は“改革”を続行すべきか?
イラク撤退を睨んだ“テロとの戦い”に日本はどう向き合うのか?
マネー資本主義の崩壊・テロとの闘いの泥沼化・・・唯一の超大国としてグローバリズムを主導してきたアメリカ一極中心主義が終焉を迎え、世界は多極化に向け激しく地殻変動している。大きな転機を迎えている世界は2009年、一体どこへ向かうのか。戦後米国との密接な関係を拠り所にしてきた日本は、どのような位置を占めるのか。オバマ新大統領の下で生まれ変わりを図るアメリカと日本の関係を軸に、日米の論客へのインタビューや討論で、世界のパラダイムシフトの行方を読み解きつつ、日本はどう向き合っていくべきか考える2009年の巻頭言。
(キャスター)三宅民夫アナウンサー
       リサ・ステッグマイヤー(タレント)

(出演者)  岡本行夫(外交評論家)
       勝間和代(経済経論家)
       金子 勝(慶應義塾大学教授)
       斎藤貴男(ジャーナリスト)
       竹中平蔵慶應義塾大学教授)
       八代尚宏国際基督教大学教授)
       山口二郎北海道大学大学院教授)
いやぁー、論客揃いでおもしろかったなぁ。特に竹中さんと山口さんの顔合わせは中央公論(2008.11)「徹底討論 新自由主義社会民主主義か」でもそうだったけれど、文字通り「対論」でした。これだけの論客を揃えて、論点も明確なのだから、もう少し司会力のある方を配して欲しかった、と言ったらNHKにはないものねだりなのでしょうか。