バーリンとオークショット

長谷部さんがロールズより思想的に親近感をもつというバーリンの書簡集が届きました。
この第1巻はハート夫人のジェニファーに捧げられています。彼女には自伝もあるようですが、本当にすごい女性ですね。

Flourishing: Letters 1928-1946

Flourishing: Letters 1928-1946

Ask Me No More: An Autobiography

Ask Me No More: An Autobiography

注文時に余りにお値打ちと思った Amazon の価格はやはり何かの手違いだったようです。随分とお得な買物をさせていただきました。
それでといっては何ですが第2巻もそろえなければいけないと思っております。
Enlightening: Letters 1946-1960: Isaiah Berlin Letters, volume 2

Enlightening: Letters 1946-1960: Isaiah Berlin Letters, volume 2

第2巻によるとバーリン書簡集は全3巻になるようです。
バーリンというと私が持っているのはトルストイ論の『ハリネズミと狐』だけ。
これまでに読もうとしたことがあるのはジャハンベグローとの対談集。
ある思想史家の回想―アイザィア・バーリンとの対話

ある思想史家の回想―アイザィア・バーリンとの対話

Conversations With Isaiah Berlin

Conversations With Isaiah Berlin

今回これを良い機会に「理想の追求」を始めとする4巻の著作集にも手にしてみたいと考えております。
理想の追求 (バーリン選集 4)

理想の追求 (バーリン選集 4)

邦訳版の著作集と章立ては異なるのかもしれませんが、英語版は以下のとおり。
The Sense Of Reality: Studies in Ideas and their History
http://www.randomhouse.co.uk/catalog/book.htm?command=Search&db=main.txt&eqisbndata=0712673679
Against The Current: Essays in the History of Ideas
http://www.randomhouse.co.uk/catalog/book.htm?command=Search&db=main.txt&eqisbndata=0712666907
The Proper Study Of Mankind: An Anthology of Essays
http://www.randomhouse.co.uk/catalog/book.htm?command=Search&db=main.txt&eqisbndata=0712673229
Personal Impressions
http://www.randomhouse.co.uk/catalog/book.htm?command=Search&db=main.txt&eqisbndata=071266601X
そのうちの1巻、Personal Impressions についてこんなコメントがありました。
「原語で読めば怖くない? 二十世紀型大知識人の名文集」
「翻訳で読むとなんだかよそよそしく見えても、原語で読むと親しみが増すような気がする」名文だから原書の英語は実に読みやすいそうです。

 二十世紀最後の知識人といわれたアイザイア・バーリン(Isaiah Berlin)も、オックスフォードの先生で、ウルフソン・コレッジの学寮長を務めた人だった。今回紹介するのは、そのバーリン先生のPersonal Impressionsという本だが、何よりも文章が素晴らしく、政治思想史(これが先生の専門)に興味のない人にもお勧めすることができる。

 バーリン先生の本は、岩波書店みすず書房から何冊も翻訳が出ていて、この本も二十年ほど前に訳されているはずだが、英語で読むと先生のナマの声に接することができて、感慨も深くなる。Personal Impressionsとは、もちろん「個人的印象」の意味。一種の人物論集だが、ここに収められたエッセイの大半は、それぞれの人物の追悼文として書かれたものである。

 例を引けば、Felix Frankfurter at Oxfordと題された文章は、次のように始まっている。


 I first met Felix Frankfurter in, I think, the first or second week of the autumn term of 1933 at Oxford in the rooms of Roy Harrod in Christ Church, where I called one afternoon in October, in order to return a book. I was followed into the room by Sylvester Gates, then a lawyer in London, whom I knew; he was accompanied by a small, neat, dapper figure, who was introduced as Professor Frankfurter. His name, I am ashamed to say, was then scarcely familiar to me: I vaguely connected it with the New Deal and Roosevelt, though in no clear fashion; but this may merely be evidence of my own provincialism and lack of acquaintance with world affairs.

 「私が初めてフェリックス・フランクファーターと会ったのは、たしか一九三三年、オックスフォードの秋の学期が始まって一週間目か二週間目のことで、クライスト・チャーチ・コレッジ内のロイ・ハロッドの部屋に、十月のある日の午後、本を返しに行ったときのことだった。続いてシルヴェスター・ゲイツが部屋にやってきて、当時ロンドンで弁護士をやっていたゲイツのことは私も知っていたが、その連れの、小柄で身なりのこざっぱりした人物はフランクファーター教授であると紹介された。恥を告白するようだが、私にはその名前に馴染みがなく、ニューディール政策ルーズベルトと関係があるような気がしたものの、確言はできなかった。早い話が、私は井の中の蛙であり、世界情勢に疎かったというだけのことなのかもしれない」


 コロンやセミコロンを多用した息の長い文章だが、すんなり頭に入る名文だと思う。これはフェリックス・フランクファーターの追悼文として書かれたもので、すごいことに、フランクファーターって誰?という読者(私もそう)が読んでも面白いのである。平凡社の『世界大百科事典』によれば、フランクファーターとは「アメリカの裁判官、法学者。オーストリア生まれ。子どものときに両親とともにアメリカに移住し、ニューヨーク市に住む。ハーバード大学のロー・スクールを卒業した後、一時、合衆国の司法省に入り、一九一四年に母校の教授となり、当時アメリカでは新しい分野であった行政法学の発展に寄与した」とのこと。

http://www.alc.co.jp/eng/hontsu/book/0112/01.html

ついでといっては何ですが、この機会にオークショットにも手を伸ばしてみたいと思っております。

政治における合理主義

政治における合理主義