来年は漱石没後 100年

夏目漱石作品集」 全25回
朗読:榊寿之(NHKアナウンサー)
テキスト:「硝子戸の中」(がらすどのうち) 岩波文庫 1933年版(2013年増刷)

夏目漱石は、明治から大正にかけて、おなじみの「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「三四郎」などの他多くの作品を著した日本を代表する小説家。今日の文壇にも今なお燦然として有る文豪であるが、小説作品は勿論、学者、評論、社会に対する論客として現代に大きな足跡を残す文化人でもある。
その漱石が亡くなって100年になる年を前に、彼の人となりを彷彿とさせる評論集「硝子戸の中」、他の小品を通して、彼の内面、人間観、社会観を今一度思い起こしてみたい。小品は「文鳥」など。

・「硝子戸の中」(がらすどのうち)全18回予定 岩波文庫1933年版(2013年増刷)
大正4年(1915年)漱石が亡くなる前年の冬、1月から2月にかけて朝日新聞に連載されたもので、漱石の住んでいた、当時の牛込区早稲田の家の書斎『硝子戸の中から』から、様々な角度、彼の目線を通して、当時の人間模様、交友、家族、社会を評して、それは、今を生きる現代人の目にも再び映し出されて新鮮な評論集である。小品も岩波文庫版。

・「文鳥」 岩波文庫 1933年版(2013年増刷)
養父の後妻の連れ子れんが亡くなって10日後に書かれた短編。頼まれた文鳥の飼育を、忙しさにかまけて世話を怠り、文鳥は死んでしまう。文鳥にかけて「美しいものの死」を描いて、れんへの追悼の小説ともいわれる。1908年に書かれた小品。
http://www.nhk.or.jp/r2bunka/roudoku/1510.html
http://www.nhk.or.jp/r2bunka/roudoku/1511.html

漱石全集の最終決定版
https://www.iwanami.co.jp/news/n17359.html
漱石全集』月報精選

Ⅰ 猫とロンドン――前期小説
 吾輩は『猫』を読む …………… 奥泉 光
 「猫」散見 …………… 金井美恵子
 『猫』と私 …………… 田辺聖子
 漱石実感 …………… 村田喜代子
 漱石とロンドンの女たち …………… 出口保夫
 接吻と裸体画 …………… 富士川義之

Ⅱ 三四郎はそれから門へ――中期小説
 鷗外の坑業家と漱石の坑夫 ……………池田浩士
 『三四郎』の明治像 …………… 司馬遼太郎
 美禰子のような女 …………… 川上弘美
 「それ以前」の漱石――世界のはずれの風 …………… 加藤典洋
 記憶のなかの漱石 …………… 多木浩二
 宗助の存在感 …………… 坂上
 『門』から覗くことができたもの …………… 玉井敬之
 姿を変える不安 …………… 小島信夫
 宗助の存在感 …………… 坂上
 『門』から覗くことができたもの …………… 玉井敬之
 姿を変える不安 …………… 小島信夫

Ⅲ こころの明暗――後期小説
 夢の漱石 …………… 津島佑子
 一つの葬列――漱石の見た落合風景 …………… 中島国彦
 「他者」という病 …………… 小林敏明
 『こゝろ』を巡って思う …………… 高 史明
 人物の重み …………… 山本道子
 『M子への手紙 ……敢えて,の男,漱石』…………… 落合恵子
 始まりの情景 …………… 多田道太郎
 漱石と女性像 …………… 河合隼雄
 百年の時空 …………… 古井由吉

Ⅳ 小説から離れて―詩,翻訳,文学論
 赤いぜんざい …………… 荒川洋治
 「異界」と現実 …………… 井波律子
 修善寺の大患雑感 …………… 三木 卓
 『漾虚集』と『孔雀船』…………… 平出 隆
 趣味の翻訳 …………… 谷川恵一
 alone in this world――若き日の漱石と『方丈記』…………… 島内裕子
 講義を読む …………… 富岡多惠子
 漱石とカント …………… 柄谷行人

Ⅴ 同時代人と漱石
 建長寺法隆寺 …………… 坪内稔典
 漱石とお弟子 …………… 大野 晋
 漱石・西田・亨吉 …………… 竹田篤司
 漱石の死と寅彦 …………… 山田一
 漱石と二葉亭 …………… 後藤明生
 千駄木漱石・鷗外 …………… 森まゆみ

Ⅵ 作家の面影
 拝啓 夏目漱石様 …………… 佐伯一麦
 金之助少年の作文をめぐって …………… 大野淳一
 漱石の種痘「届」…………… 原武 哲
 漱石という雅号 …………… 奥本大三郎
 母からきいた夏目家のくらし …………… 半藤末利子
 漱石の親切 …………… 岩橋邦枝
 漱石の落第 …………… 山田風太郎

Ⅶ 漱石全集と私たち
 夏目漱石一万人の弟子のひとりに …………… 鶴見俊輔
 漱石全集の思い出 …………… 秋元松代
 数奇なる半切の一句 …………… 長尾 剛
 漱石の若い読者たち …………… 出久根達郎

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