漱石・海舟・耕筰 百年の“思い”
今年は、我が国を代表する文豪・夏目漱石が亡くなって100年になる。漱石の代表作のひとつ「我輩は猫である」のなかから現代人への示唆に富む部分を紐解き朗読し放送したい。
ほかに、勝海舟・山田耕筰を含め、文壇・政界・音楽界で活躍した先人3人の“現代に通じる百年”を聞く。
http://www4.nhk.or.jp/roudoku/315/
「夏目漱石・百年の予言」第1回〜第10回
朗読:近石真介(ムーブマン)
テキスト:「吾輩は猫である」下『漱石全集』2 岩波書店1980
漱石は、来るべき社会では親子別居、夫婦別居が当たり前となり、ついに女性は子供を産まなくなるに違いない、と考えた。西欧社会の表面だけをまねた近代的な社会の個人で行きつく先は何なのかということである。これを聞いた「猫」は、悪酔いして水がめの中に落ちたのである。「我輩は猫である」の最後に描かれた日本の将来のさびしい夢を聞いていただく。
<夏目漱石>
1867・2・9(慶応3年)〜1916・12・9(大正5年)。日本を代表する小説家・評論家・英文学者。
- 作者: 勝海舟,江藤淳,松浦玲
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朗読:金子由之(昴)
テキスト:「氷川清話」(講談社学術文庫2000)
今日、マスコミでは、明治維新の指導者たちは、おおむね好意的に描かれている。だが、海舟の見方は違う。彼らは、白刃の下をくぐった先輩たちのあとに権力と富を手にしたなりあがり者であり、他人の言葉を一切聞こうとしない天狗である。これではいつか周辺民族の恨みを買うのではなかろうか。明治政府の行く末に、海舟が描いた暗い予感を聞いていただく。
<勝海舟>
1823(文政6年)〜1899(明治32年)。江戸生まれ。幕末から明治初期に活躍した、幕臣の武士・政治家。
- 作者: 山田耕筰
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朗読:杉村理加(テアトルエコー)
テキスト:「はるかなり青春のしらべ」 (かのう書房1985)
子守の背で見た夕焼け空、お母様と馬車で来た道、、、こんな風景と生活は今日の日本には、なかなか残っていないし、人々の心からも薄れている。ただ歌が今も幻の体験をさせ、懐かしい思い出を作ってくれる。考えてみれば、不思議である。山田耕筰は自伝を書いたが、病に倒れ、前半生分しか残っていない。その前半生の自伝から、ドイツ留学に旅立つまでを通して耕筰の百年の“しらべ”を聞いていただく。
<山田耕筰>
1886(明治19年)〜1965(昭和40年)日本を代表した作曲家・指揮者。日本初の管弦楽団を作り、西洋音楽の普及に努めるとともに、日本語の抑揚を生かしたメロディーで多くの作品を残す。