静かなる革命

本日の総選挙で、1955年11月15日の結党(初代総裁は鳩山一郎)以来、93年8月からの約1年間(93年8月9日から9ケ月間の細川政権、94年4月28日から2ケ月間の羽田政権〜94.6.30)を除き日本の政権政党であった自民党が野党に転落することになるのは、ほぼ間違いなさそうです。
昨日見た田勢康弘さんのTV番組で、自民党本部に「みんなありがとう」という緑色の垂れ幕が懸かっている、とその映像を写していましたが、自分たちで既に敗北を覚悟しているかのようです。しかしながら、明日以降、自民党が一体どうなってしまうのか、今回の事態を正面から受け止めて、健全な野党、というポジションを占めることが果たしてできるのか、それができずに「溶けて無くなってしまう」のではないかと心配する向きも多いようです。ひょっとしたら社民党になった社会党のような末路を辿ることになるのかもしれません。
「政治改革」の「熱」に浮かれていた93年当時とは違って、今回の「政権交代」には熱のようなものを感じません。私には、ついに来るべきものが来たというか、とうとう自民党の寿命も(社会党同様に)尽きたんだなぁという印象です。
でも、今回の事態では、戦後日本で初というよりも、明治以来の近代日本で初めてといってよいような、政治における大きな地殻変動が、静かながらも確実に起こっていると感じます。
私の経験では、80年代のはじめ、公務員というのは Public Servant だろうと思っていたのにそれが通じず、逆に「お上」という言葉を話すのを聞いて、それぞれ、非常に違和感を感じたものですが、その「お上」という意識の大本ともいえる江戸期以来の官僚支配と明治期以後の中央集権、それらと戦後、緊密に結びついてきた自民党政治が、いよいよ清算されようとしているのです。
それは、言葉を変えて言えば「革命」といってもよいのではないでしょうか。正に民衆の一票による「静かなる革命」というような事態なのだと思います。一夜にして権力を欲しいままにしていた自民党と官僚から、それが移転してしまうのですから。
この際、新たに政権党になる民主党の健闘を心から祈りたいと思いますし、この人の動静が注目される所以です。93年以来、今日の事態を目標にして、したたかに生き残ってきた、日本で珍しい政治家、悪相の小沢一郎です。

追記
驚いたことにイアン・ブルマさんも「静かなる革命」と称されております。
Japan: A Quiet Revolution
http://blogs.nybooks.com/post/212949936/japan-a-quiet-revolution
The Re-Birth of Japanese Democracy
http://www.project-syndicate.org/commentary/buruma29/English