ジェイ・ルービンさん

いつもは土曜の正午過ぎの再放送で聴講しているのですが、9月29日のNHKラジオ「英語で読む村上春樹」はそうはいきません。というのはこの回のゲストが翻訳者のジェイ・ルービンさん御本人!だったから(ひょっとして年度末には村上春樹がゲストかも?だったら嬉しいな!)。
ということになれば生で聴きたいところですが、翌30日は早起きしなければならないので仕方なく22:00過ぎからラジオの録音を点けっ放しに。
という訳で落ち着かずに早く眼が覚めてしまい昨日は3:00過ぎに起床、出掛ける前の小一時間で早速、録音した放送を聴かせていただきました。

いやぁ、そうなんですかルービン先生、村上春樹作品との出会いは出版社から『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』日本語版のレビューを求められ、それまで知らなかった村上作品を余り気が進まず(嫌々、と仰っていましたね)読み始めたら、何とこれがおもしろかった!というんですね。運命的な出会いなんてそんなものかも知れません。
ルービンさんがそれまで勉強していた日本文学の自然派(誰でしょう、まさか田山花袋?)には全くなかったユーモアを村上作品から感じたんだとか。

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)

今ちょうど私もこの文庫版で読んでいる最中なので、これを聞いて思わず嬉しくなってしまいました。
一方、雑誌「ニューヨーカー」に他の人の訳で「TVピープル」が掲載されたのを見て羨ましくなり、ルービンさん自身がお好きな何編か(中でもこの「象の消滅」が一番好きだったそうです!)を英訳する件について村上さんに了解を得ようと電話したら、軽く「どうぞ」と言われたそうですので、村上さん自身は、この「象の消滅」の訳にはタッチしていないようですが、放送でルービンさんは今、読んでも上出来の英訳だと仰っていました。
何でも日本で大ベストセラーになった『ノルウェイの森』を英訳する仕事から本気になって、村上さんとの綿密な二人三脚が始まったそうです。
今回のお話の中で一番感心したのは、ルービンさんが英訳される場合、日本語の解釈ということもあるけれど、自分は余り考えずに読んで感じたままを英語で書いている、と話されたこと。

翻訳で大切なのは母国語である「英語を書く力」で、これは練習が大事なんだ、それはピアニストが毎日練習しなければ演奏の力がダウンするのと全く同じで、毎日、英語を書くことを自分に課している、と仰っていました。

今回の放送が前編で、後半は今月27日に放送されますが、今から続きを聞くのがとても楽しみです、期待大ですね。