半藤昭和史

今朝の朝日新聞オピニオンのページに「『満州国化』する日本」と題して山室信一さんのインタビュー記事が掲載されています。
気になった箇所は以下のとおりですが、相変わらず勉強になりますね。

特定秘密保護法やTPPなどでアメリカの傀儡国家という性格が強くなってきているのではないか。理想国家の建設を掲げながら日本の傀儡国家への道を歩んだ満州国に似てきています。
・(岸と安倍さんは)発想がよく似ています。2人とも多元的な勢力の存在が嫌いのようですね。権力が一元化されていないと物事がうまく進まないと考える。
・もともと満州国関東軍による占領下に置かれて独自の軍隊を持たず警察組織だけあればいいとして出発した。それがやがて満州国軍として肥大化していき関東軍に牛耳られるようになった。これはまさに戦後の自衛隊と米軍の関係です。警察予備隊から自衛隊に肥大し米軍に依存することなしには存続できない体制となっている。
・東アジアでの孤立化を招いたことで対米従属化を強めるしかなく特定秘密保護法をつくるなど政策選択の幅を自ら狭めています。
・(安倍さんは)自分の領分を持っていない。官房長官以外には閣僚を経験せず若くして首相になった。自分の核がないから官僚やブレーンが持ち込んでくるものをバキューム効果のように取り込んでいく。それが安倍政権に対する野党の攻めにくさになっていると思われます。

日本が米国の「満州国化」、ということについてはちょっと無理があるような気もしますが、安倍首相についての指摘は鋭いですね。もし領分、核があるとしたら「美しい国」などの彼のアナクロ歴史認識でしょうか。

安倍首相といえば、昨年末、いつものように観ていたTBSの「時事放談」、ゲストが野中広務半藤一利の御両人だったのですが、直前の靖国参拝を2013年重大ニュースのトップに挙げて批判されていましたね。
なお、この「時事放談」、今年度、放送大学でのTV講義「日本政治外交史」で御厨先生と牧原出さんとの名コンビ振りが楽しくて、最近、こちらの「時事放談」も以前に比べると気を入れて鑑賞するようになった、という次第です。
http://www.ouj.ac.jp/kamoku/detail/1639188/
http://www.tbs.co.jp/jijihoudan/last/131229.html
http://www.tbs.co.jp/jijihoudan/last/back.html
さてその番組の中では、中国、韓国との関係から批判される野中氏より、安倍首相の参拝を「私情を優先」して「自分の記念日」に参拝した、と喝破された半藤氏の意見に首肯させられました。
また、その折、半藤さんが述べておられた靖国神社の「偏った史観」ということについて、他の方が余り公に発言されるのを聞いたことがなかったのですが、実際に遊就館を見学した者には素直に肯ける御意見だと思いました。
半藤さんの歴史観にもっと触れてみたいですね。

昭和史-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史-1945 (平凡社ライブラリー)

昭和史戦後篇 (平凡社ライブラリー)

昭和史戦後篇 (平凡社ライブラリー)

ということで、この『昭和史』全2巻、遅まきながら私も読んでみたいと痛切に思っております(1月20日から読み始め)。
http://d.hatena.ne.jp/kmtbrmtnb/20130820#p1

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=344984
http://www.allcinema.net/prog/awardmain.php?num_a=16
http://www.imdb.com/title/tt0036172/
http://www.youtube.com/watch?v=ebqivnHyunA&list=PLDDC0EC7E731871C4