政治学へのいざない

政治学へのいざない (放送大学教材)

政治学へのいざない (放送大学教材)

政治学 (ヒューマニティーズ)

政治学 (ヒューマニティーズ)

第 6回 都市空間と政治
1960年代の日本は、急速に進む経済成長と都市化によって、社会が大きく変容する時代だった。現在の情報化社会にまでつらなってゆく、そうした変化と政治意識とのかかわりを考察するとともに、「政治」の古典的な概念の基盤となった、市民による自治都市のイメージとの対比を試みる。

第 7回 オオヤケから「公共」へ
政治の空間を考えることは、「公共」の領域とは何かという問題と密接に関連する。ここでは、日本的な「オオヤケ」のイメージと西洋思想のpublicの概念との違いをまず検討する。そして、儒学の「公」概念を基盤に「公共」の政治のあり方を考えた横井小楠の思想を概観し、それが議会制度の受容につながったことの意味を考える。

第 8回 福澤諭吉と「文明の政治」
「政治」に関連するさまざまな問題は、NPOや企業などの小集団の内でも起こりうる。そうした「小政治」と国家の「大政治」との関わりについて、伝統的な日本文化と西洋の政治思想のあいだには大きなちがいがあった。その断層をのりこえようとした福澤諭吉の、「文明の政治」と「自由」への問いを検証する。

第 9回 「日本」の政治学
「自由」の気風を欠き、「権力の偏重」によって色づけられた、伝統的な日本の政治文化は、20世紀に至り新たな形で問題化されることになった。その動きを主導した丸山眞男の思想的な営みを再検討し、「日本」の政治学と「20世紀」の政治学との関わりを考える。

第10回 政治的リアリズムとは何か
政治が現実との交渉の営みである以上、そこには利害の計算や相手を説得するための演技がつきまとう。政治における「偽善」の問題をめぐって、福田恆存丸山眞男とが1960年代に闘わせた論争をふりかえりながら、政治的判断に必要なリアリズムとは何か、市民は政治といかにつきあってゆくべきかについて検討する。
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H28/kyouyou/C/syakai/1730029.html