太宰治作品集

太宰治作品集 全20回
「死んで花実が咲くものか」「死して名を残す」「名誉の戦死」、“死”には様々な形容がつくが、それぞれ簡単な“死”はない。今年も『桜桃忌』がやってきた。太宰ファンは、この日を忘れない。物心ついてからの日々、作家として、男として、夫として、父として、社会人として生涯苦悩・懊悩、破天荒な人生を送った太宰治。彼の人となりを垣間見る短編私小説・創作作品を朗読する。

朗読:●吉見一豊(円企画)第1回〜第10回、第16回〜第20回
   ●高橋理恵子(円企画)第11回〜第15回
テキスト : 『二十世紀旗手』『新郎』『小さいアルバム』『清貧譚』『令嬢アユ』『十二月八日』『雪の夜の話』『作家の手帖』『佳日』(いずれも、新潮文庫版)

二十世紀旗手 (新潮文庫)

二十世紀旗手 (新潮文庫)

ろまん燈籠 (新潮文庫)

ろまん燈籠 (新潮文庫)

お伽草紙 (新潮文庫)

お伽草紙 (新潮文庫)

太宰治全集〈3〉

太宰治全集〈3〉

『二十世紀旗手』(「二十世紀旗手」 S47年新潮文庫版)
昭和12年1月「改造」に発表。選ばれしものの自負と、相反して苦悩する現代人の心情を、12唱の文章で技巧的に構成した野心作。
『新郎』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和17年1月「新潮」に発表。前年末の太平洋戦争突入時に執筆、滅亡への道を選択した国家と自らの生き様を重ね合わせて著す。
『小さいアルバム』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和17年「新潮」に発表。来客にアルバムを見せながら説明をするという手法で、自らの半生を軽妙洒脱に語っている。
『清貧譚』(「お伽草紙」 S47年新潮文庫版)
昭和16年1月「新潮」に発表。「聊斎志異」の一篇を江戸時代に移し“菊作り”師の物語として巧みに描き芸術家の根本問題も提示。
『令嬢アユ』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和16年6月「新女苑」に発表。戦時下、鈍感で純情な青年と令嬢に見える娼婦との交流を通じて人間の美と哀しさを描いている。
『十二月八日』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和17年2月「婦人公論」に発表。夫人の目を通して、開戦時の日本人の興奮を滑稽に描きながらも深層で戦争批判を巧みに表現。
『作家の手帖』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和18年10月「文庫」に発表。七夕祭すら世相を反映している時節に自らの逆疎外の心情の悲しみを描いた短編。
『佳日』(「ろまん燈籠」 S58年新潮文庫版)
昭和19年1月「改造」に発表。友人からの仲人役の顛末をユーモラスに描きながら、背後の人々の戦争惨禍を巧みに表現した佳品。
http://www.chikumashobo.co.jp/special/dazaichikuma/complete/
<太宰 治>
1909年6月青森県生まれ、本名津島修治。裕福な家庭に育つが・・・。
青森中在学中のころから作家を志望、創作活動を始める。弘前高校在学中に、芥川龍之介の自殺に大きな衝撃を受ける。1929年自殺を図る。30年東大に進むが、11月鎌倉で心中未遂事件を起こし、その後も重ねて自殺を図る。1935年「逆行」は芥川賞を逃し次点、36年「晩年」を刊行。39年結婚、家庭を設け父となり執筆に励むが、1948年に「人間失格」執筆後、6月13日、愛人と入水自殺、38歳。
http://www4.nhk.or.jp/roudoku/315/