芥川龍之介短編作品集

芥川龍之介短編作品集」全5回
朗読 : 榊 寿之
テキスト :「鼻」1990年「蜘蛛の糸」「孔雀」は、1960年の岩波文庫版、「尾生の信」「沼地」「蜜柑」は、1968年の角川文庫 版

芥川龍之介没90年にちなみ彼の「随筆集」を放送してきたが、続いて短編・小品を5回にわたり放送する。
今回取り上げるのは『鼻』『沼地』『尾生の信』『蜘蛛の糸』『孔雀』『蜜柑』。
我が国文壇にデビュー、作家としての地位を築いた『鼻』に始まり、おなじみの『蜘蛛の糸』のほか、作家としての芥川の基盤をうかがい知ることのできる短編・小品を聞いていただく。

『鼻』①
「鼻」は芥川初期の短編作品。1916年(大正5年)に発表された。「今昔物語」「宇治拾遺物語」の「鼻長き僧のこと」を題材に人間の心理欲を捉えた。この作品で夏目漱石から絶賛され、作家としての基盤を築いた。

『沼地』③
「沼地」は1919年(大正8年)に発表された短編で、展覧会で遭遇した絵に魅入られる「私」を通じて、鋭く対象をつかもうとする芸術家の姿、作品のありようをとらえた作品。

『尾生の信』③
「尾生の信」は1920年大正9年)に雑誌「中央文学」に発表された短編作品。中国春秋時代の故事に基づき、女を待ち続ける男を通じて、人が持つ一途な気持ち、頑なさ、愚をも描いている。

蜘蛛の糸』②
蜘蛛の糸」は芥川初めての子供向け短編小説で、1918(大正7年)年に発表された。人間の利己欲を釈迦の哀れみの視点で描いている。

『孔雀』⑫
9行(文庫)の小品で執筆時期がはっきりしない。思い込みで思慮を失い、判断を誤る愚を、鳥の世界に著した。

『蜜柑』③
「蜜柑」は1919年(大正8年)、「新潮」に発表された短編作品。発表時は「私の出逢ったこと」がタイトルだった。列車車中で遭遇した少女の行為に接した体験による、ほのぼのとして温かさが伝わってくる作品。

芥川龍之介
1892(明治25)〜1927(昭和2)年。東京生まれ。東京帝国大学英文科卒。在学中に菊池寛らと『新思潮』を創刊。大正5年『新思潮』に発表した「鼻」が夏目漱石に激賞され、新進作家とデビュー。『戯作三昧』『地獄変』『奉教人の死』『枯野抄』で我が国、大正文壇での代表作家の地位を確立した。1927年自殺した。

芥川龍之介全集総索引

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