「耳を通じて」
心がうらぶれたときは 音楽を聞くな
空気と水と石ころぐらいしかない所へ
そっと沈黙を食べに行け 遠くから
生きるための言葉が 谺してくるから
清岡卓行『四季のスケッチ』(1966.10)「散文的な四行詩」より
この詩は岩波新書『第四 折々のうた』(1984.4)では「冬のうた」に分類されていますが、確か私の記憶では、その日は1983年(昭和58年)の初秋の晩のことでした。覚王山のえいこく屋で朝日新聞を何気なく眺めていて、1面中段のコラム「折々のうた」に目が留まり、清岡さんのこの詩と出会いました。
紙面では「そっと沈黙を食べに行け」まで。それに続く部分があることも書かれていたようですが、それ以来「心がうらぶれたときは音楽を聞くな」「そっと沈黙を食べに行け」は、私にとって忘れられない言葉になっています。
ただ、このタイトルにはちょっと違和感が。甚だ僭越ですが「遠いこだま」ぐらいの方が良いような気がします。
清岡さんが大作『マロニエの花が言った』を刊行される直前の1999年2月、日経新聞に「私の履歴書」を連載されていましたが、今、これを引っ張り出してきて、一度通して読んでみたくなりました(以下のHPをみて、これが『偶然のめぐみ』(2007.6)という単行本に収録されていることを知りました)。
清岡卓行の世界
http://www.k5.dion.ne.jp/~kiyooka/
- 作者: 清岡卓行
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